「独身のメリット、多すぎない?」——そう思ったこと、ありませんか。
検索して出てくるのは、独身のメリットを並べた記事か、結婚のメリットを並べた記事のどちらかです。書いている人も、根拠にしている調査も別々なので、読み比べても結局どちらが多いのか分かりません。
しかも独身側の記事は結婚相談所が、結婚側の記事も結婚相談所が書いている、ということが珍しくありません。
この記事では、国が同じ調査票で同時に聞いている「結婚の利点」と「独身生活の利点」を、男女別・全項目でそのまま並べます。さらに38年ぶんの推移、家計調査で見たお金、公的統計で言えるところまでの健康、そして実際の投稿と僕自身の一次体験を足します。どちらが正解かは決めません。
📖 この記事でわかること
- 同じ国の調査で聞いた「結婚の利点」9項目と「独身の利点」8項目の、男女別の選択率すべて
- 1987年から2025年までの38年間で、どの利点が増えてどの利点が消えたか
- 家計調査で見た単身世帯と二人以上世帯の支出。「独身のほうが金銭的に楽」は一人あたりで見ると逆転する
- 健康・寿命について公的統計で言えることと、言い切れないこと
- 「独身メリット多すぎ」派と「結婚してよかった」派、両方の実際の投稿
- 33歳まで独身だった僕が、結婚して実際に変わったこと
🔎 結論早見|同じ調査で聞くと、こうなる
独身に利点があると回答
男85.4%/女87.9%
しかも1987年の調査以来、男女とも8割前後〜9割で推移しています。
結婚に利点があると回答
男56.3%/女63.4%
男女とも前回から7ポイント以上下がりました。「多すぎ」の実感は数字にも出ています。
お金の実際
一人あたりは単身が高い
単身173,042円に対し、二人以上世帯は一人あたり約109,000円。金銭的な有利さは向きが逆でした。
結論
数の勝負にはならない
利点の中身が男女でも生き方でも違うので、多い少ないでは決まりません。決め方だけ最後に置きました。
※出典:国立社会保障・人口問題研究所「第17回出生動向基本調査」(2025年調査・2026年9月11日公表・18〜34歳未婚者)/総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果の概要」。2026年9月26日・10月5日に各公表資料で確認。

独身のメリットは本当に「多すぎ」なのか|国の調査で8項目すべて見る

まず独身側から見ます。国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査は、18〜34歳の未婚者に「独身生活には結婚生活にはない利点があると思いますか」と聞き、あると答えた人に具体的な利点を2つまで選ばせています。
独身に利点があると答えたのは男性85.4%・女性87.9%
第17回調査(2025年)で、独身生活に利点があると回答した未婚者は男性85.4%・女性87.9%でした。第16回(2021年)の男性84.1%・女性90.3%から、男性はやや上がり、女性はやや下がりましたが、男女とも9割前後で大きな変化はありません。
ほぼ全員が「独身にはいいところがある」と答えている状態です。「独身メリット多すぎ」という感覚は、少なくとも同世代の未婚者のあいだでは多数派の実感だと言えます。
1位は38年間ずっと「行動や生き方が自由」
具体的な利点の1位は「行動や生き方が自由」で、男性72.7%・女性77.2%です。この項目は1987年の第9回調査以来ずっと最多で、今回は男性で微増、女性で微減でした。
2位以下とは差が大きく、男性の2位「家族を養う責任がなく、気楽」29.4%、女性の2位「家族を養う責任がなく、気楽」24.1%と比べても40ポイント以上あります。
独身のメリットは項目数で多いのではなく、この1項目が突出して強い、という構造です。ここを見落とすと「なんとなく色々ある」で終わってしまいます。
男女差が出るのは「お金」と「人間関係」
「金銭的に裕福」を独身の利点に挙げたのは男性26.7%・女性18.5%で、男性が8.2ポイント高い数字でした。逆に「友人などとの広い人間関係が保ちやすい」は女性18.0%・男性14.7%で、女性が3.3ポイント上回っています。
さらに「現在の家族とのつながりが保てる」は女性9.9%に対して男性4.4%、「職業をもち、社会とのつながりが保てる」も女性5.6%に対して男性1.9%と、いずれも女性のほうが高くなりました。
男性は独身を「自分の財布と自分の時間」として、女性は「人とのつながりを保てる状態」としても見ている、という差が読み取れます。
| 独身生活の利点(2つまで選択) | 未婚男性 | 未婚女性 |
|---|---|---|
| 行動や生き方が自由 | 72.7% | 77.2% |
| 家族を養う責任がなく、気楽 | 29.4% | 24.1% |
| 金銭的に裕福 | 26.7% | 18.5% |
| 友人などとの広い人間関係が保ちやすい | 14.7% | 18.0% |
| 住宅や環境の選択の幅が広い | 6.9% | 10.8% |
| 異性との交際が自由 | 5.2% | 3.6% |
| 現在の家族とのつながりが保てる | 4.4% | 9.9% |
| 職業をもち、社会とのつながりが保てる | 1.9% | 5.6% |
| そもそも独身生活に利点があると回答 | 85.4% | 87.9% |
📌 この章の出典
国立社会保障・人口問題研究所「第17回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)結果の概要」(2026年9月11日公表)1.2「結婚の利点・独身の利点」図表1-5・図表1-7および同図の注記。対象は18〜34歳の未婚者、調査時点2025年6月30日。2026年10月5日に公表PDFと図表の基礎データ(CSV)で各項目の数値を確認しました。ポイント差は公表値から算出した値です。
ライこれ見たら、独身のほうが勝ってるように見えるんやけど?



選択率だけならな。でもこの調査、結婚の利点も同じ人に聞いてんねん。次はそっちを同じ粒度で並べるで。
結婚のメリットを、同じ調査・同じ人に聞いた9項目で見る


同じ調査票の中で、同じ回答者に「結婚することには利点があると思いますか」も聞いています。ここが他の記事と比べられる最大の理由です。
男性の1位は「精神的な安らぎ」と「子どもや家族」が27.0%で並んだ
未婚男性が挙げた結婚の利点は「精神的な安らぎの場が得られる」と「自分の子どもや家族をもてる」がともに27.0%で並び、この2つが1位でした。前回調査では安らぎ33.8%・子ども・家族31.1%で安らぎが上でしたが、今回は安らぎが大きく下がって並びました。
男性にとっての結婚は、家族をつくることと同じ重さで「気を張らずにいられる場所ができること」として意識されている、と読めます。
女性の1位は「自分の子どもや家族をもてる」31.6%
未婚女性の1位は「自分の子どもや家族をもてる」31.6%です。男性の27.0%より4.6ポイント高い一方、女性の「精神的な安らぎの場が得られる」は24.8%で、男性より2.2ポイント低くなっています。
安らぎが要らないという意味ではなく、それは交際の段階で足りている前提で、結婚には家族形成という別の要素を見ている、と考えるほうが自然です。
ここがずれていると、同じ場面を経験しても片方だけが結婚を意識する、ということが起きます。
男女差が最大なのは「経済的に余裕がもてる」男7.0%・女17.1%
9項目のうち男女差がいちばん大きいのは「経済的に余裕がもてる」で、女性17.1%に対し男性7.0%。10.1ポイントの開きがあります。
ここで面白いのが、独身の利点では「金銭的に裕福」を男性26.7%・女性18.5%と、男性のほうが多く挙げていたことです。つまり同じ人たちが、お金について「結婚すると余裕が出る」と考える割合は女性が高く、「独身のほうが裕福」と考える割合は男性が高い。お金の見え方が、そもそも逆向きになっています。
「親を安心させたり周囲の期待にこたえられる」も女性14.9%・男性10.9%で、女性が4.0ポイント上でした。
「結婚に利点がある」は男女とも7ポイント以上下がった
そもそも結婚に利点があると答えた割合は、男性56.3%・女性63.4%です。男性は前回63.3%から7.0ポイント、女性は70.9%から7.5ポイント下がりました。
同じ調査で独身の利点があると答えたのは男性85.4%・女性87.9%なので、いまの未婚者の受け止め方は「独身のほうが利点を実感しやすい」で一致しています。
ただし、これは利点があると思うかどうかの話であって、結婚するつもりがあるかどうかとは別です。実際、同じ調査で「いずれ結婚するつもり」と答えた人は男性75.1%・女性77.8%と、初めて8割を下回ったものの、いまも7割を超えています。
| 結婚の利点(2つまで選択) | 未婚男性 | 未婚女性 |
|---|---|---|
| 精神的な安らぎの場が得られる | 27.0% | 24.8% |
| 自分の子どもや家族をもてる | 27.0% | 31.6% |
| 現在愛情を感じている人と暮らせる | 15.9% | 17.5% |
| 親を安心させたり周囲の期待にこたえられる | 10.9% | 14.9% |
| 社会的信用を得たり、周囲と対等になれる | 11.2% | 7.2% |
| 経済的に余裕がもてる | 7.0% | 17.1% |
| 生活上便利になる | 3.6% | 3.1% |
| 親から独立できる | 3.7% | 3.9% |
| 性的な充足が得られる | 2.0% | 0.6% |
| そもそも結婚に利点があると回答 | 56.3% | 63.4% |
📌 この章の出典
国立社会保障・人口問題研究所「第17回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)結果の概要」(2026年9月11日公表)1.2 図表1-5(「結婚の利点」「独身の利点」の有無)・図表1-6(各「結婚の利点」の選択割合)および同図の注記。対象は18〜34歳の未婚者、調査時点2025年6月30日。2026年10月5日に公表PDFと図表の基礎データ(CSV)で数値を確認しました。選択肢の9項目は第16回と同じです。ポイント差は公表値から算出した値です。
38年間の推移|どの利点が増えて、どの利点が消えたか


この調査は1987年の第9回から同じ選択肢で聞き続けています。だから「昔と比べて結婚観が変わった」を、印象ではなく選択率の差で確認できます。
女性の「子どもや家族をもてる」が49.8%→31.6%に落ちた
結婚の利点でいちばん大きく動いたのは、女性の「自分の子どもや家族をもてる」です。第15回の49.8%から第16回は39.4%、第17回は31.6%へと2回続けて下がり、ピークから18.2ポイント低下しました。
この項目は第9回以来ほぼ一貫して増えてきた項目で、第16回で初めて減少に転じ、今回も減少が続きました。男性も35.8%→31.1%→27.0%と下がっています。
結婚と子どもを結びつけて考える人が、男女とも減っている。これが38年ぶんの推移でいちばんはっきりした変化でした。
独身側では「気楽」と「金銭的に裕福」が増えた
独身の利点では「家族を養う責任がなく、気楽」が男性27.7%→29.4%と増え、女性は24.1%で横ばいでした。「金銭的に裕福」も男性24.9%→26.7%、女性16.2%→18.5%と男女とも増えています。
一方、前回ほぼ倍増した「住宅や環境の選択の幅が広い」は、男性9.6%→6.9%、女性11.2%→10.8%と今回は下がりました。この調査だけでは理由までは言えません。
少なくとも「独身のメリット」の中身として、気楽さとお金の比重が上がっているのは確かです。
消えつつあるのは「広い人間関係が保ちやすい」
逆に下がり続けているのが「友人などとの広い人間関係が保ちやすい」です。男性は14.6%→14.7%とほぼ横ばい、女性は20.6%→18.0%と低下しました。第15回の男性17.3%・女性25.8%から見ると、男女とも下がっています。
調査の概況でも「選択率は低下傾向が続いている」と明記されている項目です。
つまり、いまの独身のメリットとして数えられているのは「自由」「気楽さ」「お金」であって、「友達が多くいられること」ではなくなりつつあります。この差は、独身のメリットを老後まで伸ばして考えるときに効いてきます。
子ども・家族(女)
-7.8pt
39.4→31.6
金銭的に裕福(女)
+2.3pt
16.2→18.5
広い人間関係(女)
-2.6pt
20.6→18.0
| 項目(第16回→第17回) | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 結婚:自分の子どもや家族をもてる | 31.1%→27.0% | 39.4%→31.6% |
| 結婚:精神的な安らぎの場が得られる | 33.8%→27.0% | 25.3%→24.8% |
| 結婚:経済的に余裕がもてる | 8.4%→7.0% | 21.0%→17.1% |
| 独身:行動や生き方が自由 | 70.6%→72.7% | 78.7%→77.2% |
| 独身:家族を養う責任がなく、気楽 | 27.7%→29.4% | 24.1%→24.1% |
| 独身:住宅や環境の選択の幅が広い | 9.6%→6.9% | 11.2%→10.8% |
| 独身:友人などとの広い人間関係が保ちやすい | 14.6%→14.7% | 20.6%→18.0% |
📌 この章の出典
国立社会保障・人口問題研究所「第17回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)結果の概要」(2026年9月11日公表)1.2 図表1-6・図表1-7に掲載された第15回(2015年)・第16回(2021年)・第17回(2025年)の各項目の値。対象はいずれも18〜34歳の未婚者。2026年10月5日に公表PDFと図表の基礎データ(CSV)で数値を確認しました。増減ポイントは公表値から算出した値です。
なお「一生結婚するつもりはない」と答えた人は男性24.0%・女性21.5%で、初めて2割を超えました。その中身がどうなっているかは、10万人規模の民間調査もあわせて別記事で分解しました。


お金|「独身のほうが金銭的に楽」は一人あたりで見ると逆になる


独身の利点で3番目に多かった「金銭的に裕福」を、実際の家計データで確かめます。使うのは総務省の家計調査(2025年平均)です。
単身世帯は月173,042円、二人以上の世帯は月314,001円
家計調査報告(家計収支編)2025年平均によると、単身世帯(平均年齢58.6歳)の消費支出は1世帯当たり1か月平均173,042円でした。二人以上の世帯(平均世帯人員2.87人、世帯主の平均年齢60.7歳)は314,001円です。
世帯単位で並べると、たしかに単身のほうが14万円ほど支出が少なく見えます。「独身は金銭的に裕福」という感覚は、この見え方から来ています。
一人あたりに直すと、単身のほうが約1.6倍かかっている
二人以上の世帯の314,001円を平均世帯人員2.87人で割ると、一人あたり約109,000円になります。単身世帯の173,042円は、その約1.6倍です。
家賃も光熱費も冷蔵庫も、人数で割れる支出だからです。二人で暮らせば一人分の家賃で二人が住めますが、一人暮らしは丸ごと自分で持つことになります。
「独身のほうがお金が浮く」は、収入を自分だけで使える自由の話としては正しく、生活コストの効率の話としては逆向きだ、というのが数字の結論です。
一人あたりの生活費が高くなる点は、老後の暮らしを考えるうえでも気になるところです。独身の老後のお金・住まい・孤立を公的データで見た記事はこちらです。


現役世代だけで見ても、世帯収入の差は大きい
高齢者を含む平均だと見え方が偏るので、勤労者世帯だけで比べます。単身勤労者世帯(平均年齢43.3歳)の実収入は1か月平均386,791円でした。
二人以上の世帯のうち勤労者世帯(平均世帯人員3.20人、平均有業人員1.81人、世帯主の平均年齢51.0歳)の実収入は653,901円です。
働き手が1.81人いる分、世帯としての実収入は大きくなります。ただしこれは世帯人数も年齢層も違う平均どうしの比較なので、同じ人が結婚したらこうなる、という意味ではありません。運用や貯め方の話にも踏み込みません。ここでは「世帯単位と一人あたりで結論が変わる」という一点だけを持ち帰ってください。
| 2025年平均・月額 | 単身世帯 | 二人以上の世帯 |
|---|---|---|
| 消費支出(世帯当たり) | 173,042円 | 314,001円 |
| 平均世帯人員 | 1人 | 2.87人 |
| 消費支出(一人あたり・算出値) | 173,042円 | 約109,000円 |
| 平均年齢 | 58.6歳 | 世帯主60.7歳 |
| 勤労者世帯の実収入 | 386,791円(平均43.3歳) | 653,901円(有業1.81人) |
📌 この章の出典
総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果の概要」Ⅰ-1(二人以上の世帯の家計消費)・Ⅰ-2(二人以上の世帯のうち勤労者世帯)・Ⅱ-1(総世帯及び単身世帯の家計収支)。2026年9月26日に公表PDFを取得して数値を確認しました。一人あたりの支出額は、公表されている消費支出額を平均世帯人員で割って算出した参考値であり、統計局の公表値ではありません。世帯人数・年齢構成が異なる平均どうしの比較であるため、個人の家計に当てはまるとは限りません。



え、一人暮らしのほうが高いんや……そんな気はしてたけど。



家賃と光熱費は人数で割れるからな。「自由に使える額」と「かかる額」は別モノやねん。
健康・寿命|公的統計で言えることと、言い切れないこと


「独身は寿命が短い」「既婚のほうが健康」という話は、独身メリット系の記事にもよく出てきます。ここは慎重に扱う必要があるので、確認できた範囲だけを書きます。
公的な平均寿命は男女別までで、配偶関係別は作られていない
厚生労働省の令和6年簡易生命表によると、平均寿命は男性81.09年・女性87.13年、男女差は6.03年です。
ただし国が毎年公表している生命表は、簡易生命表・完全生命表とも男女別・年齢別で作られており、既婚と未婚を分けた平均寿命は作成・公表されていません。都道府県別生命表や市区町村別生命表にも、その区分はありません。
つまり「独身は何年寿命が短い」を国の統計で確かめることは、現時点ではできません。断定している記事を見かけたら、その根拠がどの調査なのかを確かめたほうがいいところです。
孤独感は、男女とも未婚のほうが高い
配偶関係で差が確認できるものもあります。内閣府の全国調査では、孤独感が「しばしばある・常にある」と答えた人の割合は、男性で未婚8.1%・有配偶2.6%、女性で未婚8.0%・有配偶2.8%でした。
男女ともほぼ同じ形で、未婚のほうが3倍前後高い数字です。さらに離別では男性11.2%・女性6.5%と、未婚より高くなっています。
男女差はほとんどなく、差がついているのは配偶関係のほうだ、というのがこの調査の読みどころです。
これは相関であって、因果ではない
大事な注意点です。この数字は「未婚だから孤独になる」ことを示していません。孤独を感じやすい状況にある人が結婚しにくい、健康や就労の状態が両方に効いている、といった別の説明も同じ数字から成り立ちます。
調査自体も、ある時点の状態を同時に聞いた横断調査です。原因と結果の順番を確かめる設計にはなっていません。
言えるのは「未婚と孤独感のあいだに相関がある」ところまで。結婚すれば孤独が減る、とは書けません。逆に、独身なら必ず孤独になるとも書けません。
| 孤独感が「しばしばある・常にある」 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 全体 | 4.4% | 4.2% |
| 未婚 | 8.1% | 8.0% |
| 有配偶 | 2.6% | 2.8% |
| 死別 | 4.2% | 4.3% |
| 離別 | 11.2% | 6.5% |
📌 この章の出典
平均寿命=厚生労働省「令和6年簡易生命表の概況」1「主な年齢の平均余命」表1。生命表の作成区分は同資料「簡易生命表について」の記載によります。孤独感=内閣府孤独・孤立対策推進室「人々のつながりに関する基礎調査(令和6年)調査報告書」(令和7年4月)図1-9「男女、配偶者の有無別孤独感(直接質問)」。回答者数は男性5,030人・女性5,714人、うち未婚は男性1,239人・女性1,076人、有配偶は男性3,358人・女性3,454人。いずれも2026年9月8日に公表PDFを取得して数値を確認しました。横断調査であり、因果関係を示すものではありません。
「独身メリット多すぎ」の声と「結婚してよかった」の声を両方読む


数字だけでは温度が分かりません。ここからは実際に投稿されている声を、独身側と既婚側の両方から読みます。どちらも要約であり、統計的な代表性はありません。
独身側の声は「自由」と「暇・寂しさ」がセットで出てくる
独身のメリットを聞いた質問への回答を読むと、メリットとして挙がるのは自由・時間・お金でほぼ共通しています。
ただ興味深いのは、同じ回答者がデメリットもすぐ書いていることです。自由を挙げた人が続けて「暇」「時々さみしい」と書く、というパターンが目立ちました。
調査で1位だった「行動や生き方が自由」が、生活実感のレベルでは裏返しとセットになっている、という形です。
💬 独身側の投稿(要約)
★★★★☆ Yahoo!知恵袋・独身のメリットとデメリットを尋ねた質問への回答
好きな人が何人いても自由で、だらしなくしていても何も言われないのがメリット。ただしデメリットは「暇」で、結局ときどき寂しくなる、という趣旨の回答です。
★★★★☆ Yahoo!知恵袋・同じ質問への別の回答
お金も時間も自分の自由に使えることを利点に挙げつつ、年齢とともに収入も好奇心も落ちていったときが心配だ、という趣旨の回答も投稿されています。
★★★★☆ Yahoo!知恵袋・同じ質問への別の回答
自分のことに集中できる、予定が組みやすい、誰かに依存しないで済む点を利点に挙げる一方、相手からの恩恵は当然ないと書いています。
★★★☆☆ Yahoo!知恵袋・同じ質問への別の回答
収入を独占できるのは大きいが、何かあっても助けてくれる人がいないのが不安だ、という趣旨の回答です。独身のメリットを認めたうえでの指摘が目立ちます。
出典:Yahoo!知恵袋の公開質問(質問ID q10318376795)に寄せられた回答5件のうち4件を、投稿の趣旨を変えずに要約。2026年9月8日確認。回答は個人の見解であり、統計的な代表性はありません。
既婚側の声は「安心感」に集まり、不満は生活習慣の話が多い
結婚してよかったことを聞いた質問のほうを読むと、良かった点として挙がるのは精神的・経済的な安心感、家族がいること、帰ったときに人がいることに集中していました。
悪かった点として書かれているのは、一人で気軽に外食できなくなった、自由が減った、生活習慣の違いでストレスがある、といった生活レベルの話です。
調査で男性の1位だった「精神的な安らぎ」が、既婚者の投稿でも同じ言葉で出てくるのが印象的でした。悪かった点は、独身側が挙げた「自由」の裏返しになっています。
💬 既婚側の投稿(要約)
★★★★★ Yahoo!知恵袋・結婚して良かったこと悪かったことを尋ねた質問のベストアンサー
配偶者がいることと成人した子どもとの思い出を良かった点に挙げ、悪かったことは約30年結婚していて特にない、という趣旨の回答です。
★★★★☆ Yahoo!知恵袋・同じ質問への別の回答
精神的・経済的な安定感と、一緒にテレビを見る時間を良かった点に挙げつつ、一人で気軽に外食できなくなったことを悪かった点として書いています。
★★★☆☆ Yahoo!知恵袋・同じ質問への別の回答
楽しさ・寂しくないこと・経済的な安定を良かった点に挙げる一方、生活習慣の違いでストレスがあると書いた回答もあります。
★★★★☆ Yahoo!知恵袋・結婚のメリットを既婚者に尋ねた別の質問への回答
結婚20年目という立場から、精神的・経済的な安心感、他人に振り回されなくなった軸の安定、必要とされる満足感を挙げた回答が寄せられています。
出典:Yahoo!知恵袋の公開質問2件(質問ID q11253129006・q11307904861)に寄せられた回答より、投稿の趣旨を変えずに要約。2026年9月8日確認。回答は個人の見解であり、統計的な代表性はありません。
✅ 投稿で共通していた独身の良さ
- お金と時間を自分で決められる
- 予定が組みやすい・干渉されない
- 誰かに依存しなくて済む
❌ 投稿で共通していた不安・不満
- 独身側:暇・時々の寂しさ・助けがない
- 既婚側:自由が減る・生活習慣の違い
- どちらも「相手による」と書く人がいた



どっちの投稿も、ええとこと不満がセットになってるな。



せやねん。「独身は自由やけど暇」「結婚は安心やけど自由が減る」。同じコインの裏表を、みんな別の側から見てるだけやねん。
33歳まで独身だった僕が、結婚して実際に変わったこと


ここからは一次体験です。数字の代わりにはなりませんが、データがどう実感と重なったかは書けます。誇張せず、書ける範囲だけにします。
独身の自由は、婚活にそのまま振り向けられた
僕は33歳のときに結婚相談所に入りました。周りの友人がほとんど結婚して地元を離れ、気づけば自分だけが残っていた、という時期です。
そこでやったのは、写真を撮り直し、服を買い替え、苦手だった大人数のパーティは全部切り捨てて、お見合いだけに絞ることでした。
これができたのは、独身の「行動や生き方が自由」がまだ手元にあったからです。独身のメリットは、そのまま婚活の原資にもなります。使い道が自由だというのは、婚活に全部突っ込む自由も含んでいる、ということでした。


「話していて疲れない」が、男性1位の項目と同じだった
結婚を決めた瞬間を思い出そうとしても、僕には一点を特定できません。断られ続けた1年のあいだに、話していて疲れない人がいて、会う回数が自然に増えて、気づいたら一緒にいるほうが普通になっていた、というのが正直な感覚です。
あとから調査を読んで、男性の結婚の利点1位が「精神的な安らぎの場が得られる」だと知りました(2021年調査で33.8%、2025年調査でも27.0%で「子どもや家族」と同率1位)。自分の実感が特殊なものではなかったと分かって、正直ちょっと安心しました。
結婚したいと思う瞬間そのものについては、男女の違いも含めて別記事で詳しく書いています。


年収400万円でも結婚はできた。ただし断られた回数のほうが多い
当時の僕は年収400万円で、正社員になりたてでした。結婚相談所の男性会員としては低いほうです。年収で足切りをする方もいましたが、それ以外の方とはきちんと出会えました。
結婚の利点で「経済的に余裕がもてる」を挙げた男性が7.0%しかいないのは、たぶんこういうことです。男性側にとって結婚は、お金が増える出来事としては意識されていません。
それでも1年かかりましたし、断られた回数のほうが圧倒的に多かったです。「結婚のメリット」を並べた記事が言わないのはこの部分で、メリットの手前に、断られる期間が必ずあります。
派手なイベントは、結婚のメリットではなかった
うちは結婚式もしていませんし、写真も残していません。ダメな夫だと自分でも思いますが、それでも一緒にいてくれる奥さんには感謝しています。
結婚のメリットとしてよく挙がる華やかな部分は、少なくとも僕の生活には一つもありませんでした。残ったのは、話していて疲れない人と暮らしている、という状態だけです。
だからこの記事でも「結婚すればこうなる」とは書きません。書けるのは、調査で男性の1位に来ていた項目が、僕の場合は実際そのとおりだった、というところまでです。



結婚式なしって、意外とあっさりやな。



せやで。結婚のメリットって、写真に写るとこにはあんまり無かったわ。
どちらが正解ではない|自分の決め方だけ持っておく


ここまで見てきたとおり、利点の数でも金額でも決着はつきませんでした。決められるのは、自分がどちらの状態にいるかだけです。
「選んだ独身」と「まだ出会っていない独身」を分ける
同じ調査で、結婚意思のある未婚者に独身でいる理由をたずねた結果があります。25〜34歳では「適当な相手にまだめぐり会わないから」が最も多く、男性39.2%・女性39.9%でした。
18〜24歳では「結婚するにはまだ若すぎるから」「結婚する必要性をまだ感じないから」が上位で、今回の調査では「今は、趣味や娯楽を楽しみたいから」が男女とも増えています。
つまり25歳を超えると、独身でいる理由の主流は「したくない」ではなく「出会っていない」に変わります。前者なら独身のメリットを伸ばす話、後者なら会う人数を増やす話で、打ち手がまったく違います。
✅ 独身のメリットを取りにいっていい人
- 自由の使い道が具体的に決まっている
- 仕事以外に、定期的に人と会う場がある
- 住まいの固定費を自分で決められている
❌ 「独身でいい」で止めないほうがいい人
- 理由が「出会いがないから」になっている
- いい人がいたら結婚したい、と思っている
- 断られるのが嫌で動いていない
婚活を続けるかやめるかで迷っているなら、実際にやめた人がその後どうなったかを読んでおくと判断材料になります。


「出会っていない」側なら、変えられるのは会う人数だけ
年齢も年収も見た目も、来月までには変えられません。会う人数だけは今月から変えられます。
「出会いがない」と感じる理由が、昔と今の出会い方の変化とどう関係しているかは、別記事でデータごと整理しました。手段を選ぶ前に、まずここを読むほうが遠回りに見えて早いです。


動くと決めたら、手段は費用と期間で比べる
僕は結婚相談所を使いましたが、誰にでも相談所が正解だとは思っていません。費用を抑えて数を打ちたいならマッチングアプリ、相手の結婚意思の確かさを優先するなら結婚相談所、というのが率直な線引きです。
年齢が上がるほど、この選び方の差が結果に効いてきます。費用と期間を並べて比べたものは次の記事にまとめてあるので、入口を決めてから登録に進んでください。
なお、結婚しなかった場合の老後を家計・住まい・孤立のデータで見た記事と、婚活をやめた人のその後を扱った記事も、このブログで別途用意しています。


📌 この章の出典
国立社会保障・人口問題研究所「第17回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)結果の概要」(2026年9月11日公表)1.3「結婚へのハードルと独身でいる理由」図表1-10および同節の本文。結婚意思のある人に聞いた設問で、割合は18〜34歳の未婚者全体に対する値、調査時点2025年6月30日。2026年10月5日に公表PDFと図表の基礎データ(CSV)で数値を確認しました。
よくある質問


結局、独身と結婚はどちらのメリットが多いのですか?
選択率だけで比べると独身のほうが高く出ます。第17回出生動向基本調査(2025年)では、独身生活に利点があると答えたのが男性85.4%・女性87.9%、結婚に利点があると答えたのが男性56.3%・女性63.4%でした。
ただし利点の中身が「自由」と「安らぎ・家族」で性質が違うため、単純な多い少ないの比較にはなりません。
結婚のメリットの1位は男女で違うのですか?
一部重なります。同じ調査で未婚男性の1位は「精神的な安らぎの場が得られる」と「自分の子どもや家族をもてる」がともに27.0%、未婚女性の1位は「自分の子どもや家族をもてる」31.6%でした。
男女差がいちばん大きいのは「経済的に余裕がもてる」で、男性7.0%に対し女性17.1%です。
独身のほうがお金は貯まりますか?
収入を自分だけで使える点では自由度が高いですが、生活コストの効率は逆です。家計調査の2025年平均では単身世帯の消費支出が月173,042円、二人以上の世帯が月314,001円で、平均世帯人員2.87人で割ると一人あたり約109,000円になります。
一人あたりの支出は単身のほうが約1.6倍でした。なお、この記事では貯め方や運用の助言はしていません。
独身だと寿命が短いというのは本当ですか?
国が公表している生命表は男女別・年齢別で作られており、既婚と未婚を分けた平均寿命は作成されていません(令和6年簡易生命表の平均寿命は男性81.09年・女性87.13年)。したがって公的統計で断定することはできません。
確認できるのは孤独感の差で、「しばしばある・常にある」は未婚男性8.1%・有配偶男性2.6%、未婚女性8.0%・有配偶女性2.8%です。ただしこれは相関であり、因果関係を示すものではありません。
「独身でいい」と思っているのに、なぜ迷ってしまうのでしょうか?
「選んだ独身」と「まだ出会っていない独身」が同じ言葉になってしまうからです。同じ調査で25〜34歳が独身でいる理由の1位は「適当な相手にまだめぐり会わないから」で、男性39.2%・女性39.9%でした。
理由が出会いの不足なら、独身のメリットを増やしても迷いは消えません。逆に自由の使い道がはっきりしているなら、迷う必要もありません。
まとめ|独身のメリットは多い。ただし比べる土俵が違う


✅ まとめ:同じ調査で並べてわかったこと
- 独身に利点があると答えたのは男性85.4%・女性87.9%。結婚は男性56.3%・女性63.4%で、選択率では独身が上回る
- 独身の利点は「行動や生き方が自由」(男72.7%・女77.2%)が38年間ずっと1位で、他項目とは40ポイント以上の差
- 結婚の利点の1位は男性が「精神的な安らぎ」と「子どもや家族」の27.0%で同率、女性が「子どもや家族」31.6%。男性は安らぎの比重が女性より大きい
- 男女差が最大なのは「経済的に余裕がもてる」男7.0%・女17.1%。独身の「金銭的に裕福」は男26.7%・女18.5%で向きが逆
- 推移では女性の「子どもや家族」が49.8%→39.4%→31.6%と2回続けて減少し、独身側は「気楽」「金銭的に裕福」が増えた
- 家計は世帯単位なら単身が少ないが、一人あたりでは単身173,042円 対 約109,000円で単身のほうが約1.6倍かかる
- 配偶関係別の平均寿命は公表されていない。孤独感の差(未婚男8.1%・有配偶男2.6%)は相関であって因果ではない
- 決められるのは「選んだ独身」か「まだ出会っていない独身」か。後者なら、変えられるのは会う人数だけ



